人工知能の導入が進むヘッジファンド業界!AIによる運用は成功するのか?

人工知能で運用しているヘッジファンドがあるって本当?

AIはヘッジファンド業界にどんな影響を与えているの?

将来的にはファンドマネージャーはAIに置き換わっていくの?

そんな思いから、こちらの記事に辿り着いたのではないでしょうか?

第四次産業革命が起こるとすればAI(人工知能)による技術革新がその中核になると言われていて、今後も各産業への影響が注視されています。

ヘッジファンドとは、あらゆる投資手法を試みてどんな市場環境であっても利益を追求することを目的とした絶対収益追求型のファンドです。

ヘッジファンド業界においてもAI(人工知能)の及ぼす影響は大きく、近年では大手ヘッジファンドでも積極的にAI活用が検討されています。

本記事ではヘッジファンド業界におけるAI(人工知能)の影響を、近年の事例や将来の予測を踏まえて解説します!

PB池田
完全にAI(人工知能)のみで運用するヘッジファンドが、本当に成り立つのか気になりますよね。

※そもそもヘッジファンドって何?という場合は、こちらの記事で簡単にヘッジファンドの概要を解説していますのでご参考にしてください。

この記事を書いた人
プライベートバンカー
PB池田
関西出身で外資系コンサル会社に勤める40代の個人投資家。前職は銀行員だったが、転職を機に本格的な資産運用を始める。証券アナリスト・プライベートバンカーの資格を有しており、現職では大手金融機関へのアドバイザリーに従事。職業病で徹底的にリサーチしないと投資できない性格で、ブログでは様々な資産運用先を紹介している。2022年現在、自身の運用資産は7,000万円を超える。

そもそもAI(人工知能)とはどんなものなのか?

至る所で見かけるAI(Artificial Intelligence)という言葉ですが、実は一意に決まった定義が無く現在でも各業界で論じられ続けている領域です。

ここではAIの現状を簡単に整理していくので、まずはイメージを掴んでいただけたらと思います!

AI(人工知能)はディープラーニングによって第三世代へシフト

出典:NTTデータ

AIは、一般的には「人が実現する様々な知覚や知性を人工的に再現するもの」という意味合いで理解されています。

AIの最終目標はAGI(汎用的人工知能)というあらゆる課題に対応できる汎用的なAIを実現することですが、現時点では存在しません。

上の図のようにAIという言葉はかなり昔からあって徐々に高度化していますが、まだまだ進化の途上だと言えます。

ルールベースと言われる第一世代は、知識を使って推論や探索が可能なAIです。

人がルールを作成して、そのルールに基づいたアウトプットを導きます。

統計・探索モデルと言われる第二世代は、機械学習を取り入れたAIです。

サンプルとなるデータを人が与えるとルールや知識を自ら学習し、新たなインプットデータを自動的に判断してアウトプットを導きます。

脳モデルと言われる第三世代は、ディープラーニングを取り入れたAIです。

人が介在したりルールを設定しなくても自律的に知識やルールを学習し、自動的に判断してアウトプットを導きます。

このようにAIは第一世代から第二世代を経て、ディープラーニングによって認識性能を飛躍的に向上させた第三世代へとシフトしています。

PB池田
AIと言えば第三世代のことをイメージすると思いますが、広義では第一世代~第三世代の全てがAIとされています。

従来の機械学習とディープラーニングの違い

従来の機械学習はデータの増加に対して性能が頭打ちになるのに対して、ディープラーニングではその性能がデータのサイズに対してスケールする点に大きな違いがあります。

簡単に言うと、データが多ければ多いほど賢いAIになれるということです。

ディープラーニング(深層学習)とは、人間が自然に行うタスクをコンピュータに学習させる機械学習の手法のひとつです。

十分なデータ量を用意することで、機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれるディープニューラルネットワーク(DNN)を用いています。

DNNとは人間や動物の脳神経回路をモデルにしたアルゴリズムを用い、パターン認識をするように設計されたニューラルネットワーク(NN)をさらに多層構造化したものです。

ディープラーニングの精度を上げるためにはデータを大量処理する必要があり、従来のサーバーでは処理できませんでした。

しかし近年はサーバーの処理能力が向上したことで、ディープラーニングが実用レベルで検討されるようになってきたのです。

PB池田
ディープラーニングが注目されているのは、従来の機械学習では不可能だったレベルのパフォーマンスを達成できるようになってきているからです。

AI(人工知能)は人の仕事を奪う?

AI(人工知能)は進化の途上と書きましたが、現在のAIが実用レベルに達していないわけではありません。

第三世代だけでなく第一世代・第二世代も範囲が限定された特定領域においては、人間をはるかに凌駕する卓越した能力を発揮するケースがあります。

各種メディアでも散々煽られていますが、人が担っていた仕事の一部をAIが代替する事が可能になるとされていますね。

実際に第一世代・第二世代のAIによって、事務系の仕事が徐々に自動化されているのは周知の事実だと思います。

では第三世代のAIによって代替される可能性が高い業界はどこだと思いますか?

それは金融業界だと言われています。

その理由はディープラーニングはデータが多ければ多いほど活躍できて、金融は過去に遡って大量のデータを活用できるからです。

イギリスの情報会社「IHSマークイット」のレポートによると、アメリカの銀行だけでも130万人の雇用が失われるということです。

実際、世界最大級の投資銀行ゴールドマン・サックスは金融取引の自動化を進め、600人いた株式トレーダーが2人になったのは有名な話です。

PB池田
今後は、第三世代のAIでどのレベルの仕事まで代替できるのか注目となっています。

ヘッジファンド業界ではAI(人工知能)の導入が進んでいる

金融取引の50%以上が電子化されていると言われている現代において、ヘッジファンドだけが乗り遅れているということはありません。

近年、ヘッジファンド業界はAI(人工知能)に着目していて、実際にAI技術者を雇ったりAIを導入した運用を開始しているファンドも存在します。

ただし、前述したようにAIと言っても様々なレベルがあり、どこまで活用できているかはファンドによって差が大きいようです。

一口にAIの活用と言っても、投資する個別銘柄を選ぶ、売買のタイミングを決める、アセットアロケーションを決めるなど様々です。

某外資系コンサルがまとめた資料で以下のような例が掲載されていました。

ヘッジファンドがAIを活用している例
  • 経済指標、マクロ・ミクロ経済データ、企業財務データ、気象情報、ニュース、SNS等のビッグデータ解析
  • 気象、選挙、戦争、自然災害など過去のイベント発生における株式市場の反応をビッグデータから解析
  • ファンドマネージャの思考パターンを学習し、運用判断をコピー
  • 経済指標、政治情報、財務データ、市場センチメントなど総合的なデータを深く分析して、投資銘柄を決定
  • 市場動向・経済指標の分析による市場パターンの特定、運用戦略立案を深層学習でモデル化

大抵はAIにビッグデータを解析させて銘柄選定の補助に使う程度までのようですが、中には運用判断まで踏み込んでいるファンドもあるようです。

PB池田
大手ヘッジファンドの動向はニュースにもなっているので、彼らが現状AI運用にどこまで踏み込んでいるのか見てみましょう!

大手ヘッジファンドのAI(人工知能)の活用状況

近年はヘッジファンドのAI関連のニュースも増えてきましたね。

大手ヘッジファンドがAIに対してどのようなアプローチを行っているのかまとめました。

ブリッジウォーター・アソシエイツ

世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツは、IBM社のシステム「Watson」の開発を主導したデービッド・フェルッチ氏を引き抜きました。

そして、2015年2月末にデービッド・フェルッチ氏を筆頭にAIチームを発足したと発表しています。

この後、ヘッジファンド業界はGoogle、IBM、Appleなど既存のAI技術の巨人から、次々に有力な技術者の引き抜きを行っています。

現時点でどこまでAIが運用に関わっているかは不明ですが、第三世代のAI活用を検討していると思われます。

ルネッサンス・テクノロジーズ

史上最高のヘッジファンドであるルネッサンス・テクノロジーズは、現在、トップレベルのAI研究者を集めているとされています。

数学的・統計的分析から導き出された定量的モデルを用いたクオンツ運用の先駆けであり、第一世代・第二世代のAIは既に導入済みです。

ルネッサンスのRenaissance Institutional Equites FundはAIを活用したファンドとして有名ですね。

厳格な秘密主義を貫いているので詳細は明かされていませんが、第三世代のAI活用も進んでいると言われています。

ツー・シグマ・インベストメンツ

AIを駆使して急成長を続けるヘッジファンドであるツー・シグマ・インベストメンツは、最先端のAI技術を全面的に採用しています。

マサチューセッツ工科大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得しAI技術を専門とするデビッド・シーゲル氏が2001年に設立しました。

膨大な情報の中から、自然言語処理技術などを活用して株式や証券の値動きを予測できそうなパターンをAIで検知しています。

また、機械学習などさまざまな手法で市場のサインを読み取り、さらにAIが最終的な意思決定をしてリスク管理もしています。

AIはほぼ自律的に運用しているので、人が介在するのはリスクを増減させる時だけというから第三世代のAIを活用しているのでしょう。

完全にAI(人工知能)のみで運用するヘッジファンドは成り立つのか

大手ヘッジファンドの動向を見ても完全にAIのみで運用しているファンドは無いようですが、新興ヘッジファンドでは存在します。

まだまだ数は少ないですが、事例を紹介します。

センティエント・テクノロジーズ

センティエント・テクノロジーズは2016年に100%AIに運用を任せるファンドの運用を開始しました。

創業者は九州大学で人工知能の博士号を取得し、Appleの音声アシスタント「Siri」の基盤づくりにも寄与したババク・ホジャット氏です。

センティエントのメンバーは、Amazon、Apple、Google、Microsoftなどテクノロジー企業のベテランで構成されています。

過去10年間の膨大なデータを調査してトレンドを見つけ出し、株取引で学び適応しリターンをあげられるようにAIの機械学習を行ったそうです。

そして、満を持して運用を開始したファンドの運用実績は2017年が+4%、2018年が±0%となり、ファンドは清算となりました。

PB池田
大幅な損失を出したわけではないようですが、このまま続けても意味がないと判断されたようですね。

アイデア

香港のアイデアは、AIを活用した運用を前面に押し出し、人間のトレーダーは全く関与していない完全AI化したファンドまで運用しています。

アイデアの設立は2011年で、完全にAIに任せたファンドは2016年から運用を開始しました。

AI研究の第一人者であるベン・ゲーツェル氏がチーフ・サイエンティストを務めていることで注目を集めています。

彼は「もしわたしたちが全員死んだとしても、取引は続くことになるだろうね」と語っています。

PB池田
アイデアが成功モデルとなれたかどうかがわかるのは10年後くらいでしょうか。

ヘッジファンドとAI(人工知能)のまとめ

今回のまとめ
  • AIはディープラーニングで進化している
  • ヘッジファンド業界ではAIの導入が進んでいる
  • 完全にAIのみで運用するには実用レベルに達していない

現在のAIは、ディープラーニングによって認識性能を飛躍的に向上させた第三世代へとシフトしています。

ヘッジファンド業界でもAIの活用は積極的に検討されており、第一世代・第二世代のAIは大手ヘッジファンドでも運用の一部を担っています。

第三世代のAIを上手く活用できれば完全にAIのみでファンドを運用することも可能かもしれませんが、現時点では実用レベルに達していないようです。

ファンドの運用においてAIに立ちはだかる壁としては、多くのマーケットデータは再現性に乏しいということがあると思われます。

例えばリーマンショックは1,000年に1度と言われていますが、マーケットデータは1,000年分も存在しないのでAIが学習できませんよね。

とは言えAIも日々進化しているので、天気予報が昔に比べて精度が向上したようにAIのマーケット予測の精度も上がっていくことでしょう。

PB池田
ヘッジファンド業界がAIに注力していることは間違いないので、将来的にはAIがファンドを運用している未来もあり得るかもしれませんね。

※日本国内から投資できるヘッジファンドをおすすめ順にランキング形式で紹介していますので、こちらもご参考にしてください。

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