ヘッジファンドへの投資を検討しているけど、運用に失敗するのが怖い。
ヘッジファンド投資の失敗ってどんなものがあるの?
ヘッジファンド投資で失敗したくないけど、どうすれば失敗を避けられるの?
そんな思いから、こちらの記事に辿り着いたのではないでしょうか?
ヘッジファンドとは、あらゆる投資手法を試みてどんな市場環境であっても利益を追求することを目的とした絶対収益追求型のファンドです。
そんなヘッジファンドへの投資で失敗するというのは、どういうことが想定されるのでしょうか?
本記事ではヘッジファンド投資で起こり得る失敗のパターンと運用に失敗しないために確認すべきことを解説しています!
※そもそもヘッジファンドって何?という場合は、こちらの記事で簡単にヘッジファンドの概要を解説していますのでご参考にしてください。

もくじ
ヘッジファンド投資における失敗とは何か?
そもそもヘッジファンド投資における失敗とは何なのか、気になりますよね?
結論を一言で言ってしまうと、ヘッジファンド投資における失敗とは投資家が想定した運用結果を下回ることです。
ヘッジファンドへの投資は資産を運用して増やすために行うので、資産が減った状態で元本が償還されるのは完全に失敗です。
一時的に損失を出して含み損となることはどんな投資でもあり得るので問題ないですが、損失が確定してしまうと失敗と言えるでしょう。
また、ヘッジファンドは公募投資信託よりも投資や解約の条件が厳しい代わりに、リターンの目標を高く設定しています。
そのため、平均目標リターンが15%~20%程度のヘッジファンド業界で数年間運用した結果、年間リターンが一桁%となるのも失敗と言えます。
単年で成績が振るわないことはあり得ますが、長期間成績が低迷するようではそのヘッジファンドへ投資する意味はほとんどありません。
ヘッジファンド投資で失敗してしまう3つのパターン
- ヘッジファンドが運用に失敗して損失を出すパターン
- ヘッジファンドでの運用実績が低迷しているパターン
- 詐欺案件(ポンジスキームなど)に投資してしまうパターン
ヘッジファンド投資の失敗はほとんどがこの3パターンに分類できます。
それぞれ具体的な事例を交えながら説明します。
ヘッジファンドが運用に失敗して損失を出すパターン
冒頭でも記述しましたが、ヘッジファンドはどんな市場環境であっても利益を追求することを目的とした絶対収益追求型のファンドです。
絶対収益追求型のファンドでも損失を出してしまうことがあるの?と思われるかもしれませんが、当然あり得ます。
そもそもヘッジファンドの言う「絶対収益追求」とは、絶対に儲かるという意味ではなく下落相場でも利益を追求するという意味です。
例えば、株式を投資対象とする公募投資信託であれば、基本的には株式市場が下落すると投資信託の価格も下落します。
しかしヘッジファンドでは、積極的にショートポジションやレバレッジを活用して下落相場でも利益を追求していきます。
ただし、ヘッジファンドのような運用のプロでも確実に利益を出すことは難しく、一時の判断ミスで損失を出すことがあります。
それでも優秀なヘッジファンドであればその損失を挽回できる可能性が高いので、損失が出たからと言ってすぐに解約する必要はありません。
では、どうなると失敗なのかというと、ファンドが損失を出し続けて破綻してしまい投資資金が償還されることです。
損失を出した状態で投資資金が償還されると投資家の損失は確定するので、ヘッジファンド投資における運用失敗となります。
実際にヘッジファンドが破綻した事例を紹介します。
ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)
LTCMはソロモン・ブラザーズで債券トレーディング部門も率いるメリウェザー氏が1993 年に設立した著名ファンドです。
ノーベル経済学賞を受賞したロバート・マートンや元FRB議長のデビッド・マリンズらを迎え「ドリームチーム」とも呼ばれていました。
当初は金融工学に基づき慎重な取引を行っていたが、次第にレバレッジを引き上げて理論的に損失が無限大にあるポジションを組むようになりました。
それは極めてハイリスクなポジションだったのです。
高い運用実績を出していたLTCMですが、そこにアジア通貨危機、ロシア財政危機と立て続けに金融危機がおきて破綻しました。
タイガー・マネジメント
タイガー・マネジメントはジュリアン・ロバートソン氏が1980年に設立したファンドです。
設立時点の資産は8百万米ドルでしたが、1997年には10.5億米ドルまで増えて世界で2番目に大きいヘッジファンドとなりました。
しかし、ロシア財政危機や日本円の急騰で多額の損失を抱えて破綻しました。
ちなみにタイガー・マネジメントは投資家へのレポートでポジションを公開したことでトレーダーに狙い撃ちされました。
ヘッジファンドでの運用実績が低迷しているパターン
投資したヘッジファンドの年間リターンが+1~+5%程度と低迷しているパターンもヘッジファンド投資における失敗と言えます。
資産が減っていないのであれば失敗ではないのでは?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
ヘッジファンドへの投資には、高額な保有資産の条件や高い最低投資額のハードルがあります。
また、解約のタイミングが四半期や月に1回であったり、短期間での解約には解約手数料が課されたりと長期投資を前提とした資金拘束があります。
それでも世界中からヘッジファンドに資金が集まるのは、投資家がヘッジファンドの高いリターンに魅力を感じているからです。
稀に「リターンは低いがリスクを抑えた運用で、長期的には資産が増える」という趣旨のアピールをしているヘッジファンドがあります。
低いと言ってもヘッジファンドであれば平均年間リターン10%程度かと思いきや、確認すると手数料控除後で一桁台前半ということも…。
その投資方針が間違っているとは言いませんが、それならS&P500に連動する投資信託の方が成績が良いですよね。
そんなヘッジファンドとしての体をなしていないファンドで運用するのは機会損失であり、ヘッジファンド投資の失敗と言えます。
詐欺案件(ポンジスキームなど)に投資してしまうパターン
ヘッジファンドを装ったポンジスキームなどの詐欺案件に投資してしまうのも失敗です。
ポンジスキームとは、実際には資産を運用していないのに、あたかも資産運用で得た配当金を分配しているように装う詐欺のことです。
上の図のように実際には資産は一切増えていないので、新規投資家が出資する資金より既存投資家の出金・解約が多くなれば破綻します。
まさに自転車操業ですね。
非常に単純なスキームなので100年ほど前からある古典的な詐欺手法ですが、騙される人が後を絶ちません…。
と言うのも、一般の個人投資家からすると「真っ当な資産運用会社」と「ポンジスキームの詐欺会社」を見分けるのは非常に困難だからです。
金融庁からも以下のような勧誘があった場合は、取引を見合わせるように注意喚起が出されています。
- 「上場確実ですので、必ず儲かります! 元本も保証します!」
- 「△△社の株(社債など)を買ってくれたら、あとで高く買い取ります。」
- 「被害を回復してあげます。その代わり、別の商品(□□社の株式・社債など)を買ってください。」
- 「郵便や宅配便等で現金を送付してください。」
- 「金融庁(その他公的機関名)の者ですが・・・・」
とにかく「必ず儲かる」「元本保証」「損失補填」「現金で取引」などのワードが出たら、完全にアウトだと思ってください。
アメリカでは社会的地位のある有名人がポンジスキームをしていたこともあり、東大卒やゴールドマンサックス出身などの謳い文句にも注意が必要です。
バーナード・マドフ事件
バーナード・マドフ事件は、世界史上最大のポンジスキームで諸説ありますが被害総額は500億ドル以上と言われています。
主犯であるバーナード・マドフ氏は、NASDAQ株式市場の非常勤会長を務めていた経歴もあり世間の信頼も厚かったようです。
そのマドフ氏が年間リターン10%以上を確約するヘッジファンドを運用していると有名になり、各国から資金が集まりました。
日本でも野村證券・住友生命保険・三井住友生命・明治安田生命などの大手金融機関が投資しており、数百億円の被害にあっています。
2008年にマドフ氏の息子たちが当局に対し、父の会社の資産運用部門が大規模なポンジスキームだったことを告白し詐欺行為が発覚しました。
1980年代半ばから30年以上にもわたってポンジスキームを続けていたというから驚きですよね。
ヘッジファンド投資で失敗しない対策!
ヘッジファンド投資で失敗しない対策は、優秀なヘッジファンドに投資することです。
まず、先に記載しているような詐欺案件(ポンジスキームなど)に投資してしまうのは絶対に避けたいです。
繰り返しとなりますが「必ず儲かる」「元本保証」「損失補填」「現金で取引」というワードが出たら、投資をするのはやめましょう。
それを踏まえた上で、私は以下の項目を確認することで優秀なヘッジファンドかどうかを判断しています。
- 過去の運用実績(利回りと運用歴)は良いか
- 社会的信用力のある組織で運営されているか
- 流動性(資金ロック期間)は問題ないか
- 投資ハードル(最低投資額)は高すぎないか
- 運用会社の将来性は明るいか
優秀なヘッジファンドの定義は難しいですが、この5点を押さえてヘッジファンドを選べば大きく外すことはないはずです!
国内のヘッジファンド(投資会社を含む)でおすすめの投資先を3つ紹介!
第2位エピック・パートナーズ・インベストメンツ
アメリカなどの海外にも優秀なヘッジファンドは存在しますが、投資のハードルが高かったり相応の英語力が求められます。
国内にもアメリカのヘッジファンドに見劣りしないファンドは存在しているので、日本在住なら国内から投資できるヘッジファンドがおすすめです。
ただし、ヘッジファンドは私募の投資先なので公式HPでは運用実績などの情報を公開していません。
そこで、私が実際に投資したり問い合わせたりして得た情報をもとに、国内ヘッジファンドを比較してランキング付けしました!
ベイビュー・ アセット・マネジメント

- 運用会社名:ベイビュー・ アセット・マネジメント
- 投資戦略:日本の中小型株式を対象としたロングショート戦略
- 運用開始:2014年
- 許認可:第二種金融商品取引業
- 市場下落時でも大幅なマイナス運用を回避
- 利回りから手数料控除が必要
- 最低投資額1,000万円と高い
利回り | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | Total |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2014年度 | – | – | – | +1.23% | +2.42% | +0.49% | -0.13% | +0.99% | +3.85% | -2.10% | +0.60% | +1.14% | +8.71% |
2015年度 | +2.54% | +3.22% | +1.75% | +1.03% | -1.05% | -1.49% | +1.38% | +2.26% | +1.88% | -2.18% | +2.53% | +5.22% | +18.23% |
2016年度 | -2.07% | +4.80% | -1.19% | +0.94% | -0.12% | +3.86% | +3.16% | +1.35% | +1.14% | +3.41% | +1.58% | +1.34% | +19.51% |
2017年度 | -0.26% | +4.42% | +1.27% | +2.20% | +2.77% | +4.03% | +2.56% | +0.92% | +2.42% | +4.67% | -2.06% | -4.20% | +19.95% |
2018年度 | -0.71% | +0.04% | -1.86% | +0.08% | +0.72% | -0.24% | -4.11% | -2.07% | -1.42% | +1.27% | +1.16% | +2.32% | -4.89% |
2019年度 | +2.16% | -1.33% | -1.21% | -0.43% | -2.08% | -0.64% | +3.54% | +1.82% | +2.65% | -2.26% | -8.16% | -1.79% | -7.96% |
2020年度 | +6.66% | +9.61% | +5.79% | +1.96% | -0.62% | +6.26% | -1.54% | +4.37% | – | – | – | – | – |
ベイビュー・ アセット・マネジメントは、2015~2017年は年間リターン+20%程度と優秀ですが2019年はコロナショックの影響を受けました。
投資戦略は日本の中小型株式を対象としたロングショート戦略なので、一定程度は日本株式市場の下落が響いたようです。
それでも大幅なマイナス運用は回避できていて、コロナショック後は回復傾向にあります。
第二種金融商品取引業の許認可を取得しており、私募のヘッジファンドと公募の投資信託のどちらも取り扱っています。
上記の利回りは手数料控除前なので、実際に手元に還ってくるリターンは手数料を加味する必要があります。
また、最低投資額は1,000万円と一般の個人投資家目線では少しハードルが高い設定となっていますね。
詳細はこちらの記事にまとめていますので、ご興味ありましたらご覧ください。
エピック・パートナーズ・インベストメンツ

- 運用会社名:エピック・パートナーズ・インベストメンツ
- 投資戦略:日本株式を対象としたマーケット・ニュートラル戦略
- 運用開始:2011年
- 許認可:第一種・第二種金融商品取引業
- マイナス運用を出しにくい投資手法
- 大幅なプラス運用は期待できない
- 当初半年は資金がロックされる
利回り | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | Total |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2011年 | – | – | +2.09% | +0.38% | +0.01% | +4.53% | -3.45% | -4.38% | -1.61% | +11.01% | -1.60% | +2.55% | +9.00% |
2012年 | +2.30% | +6.05% | -0.29% | +2.15% | -8.78% | +1.48% | -5.84% | -9.61% | -1.63% | +0.28% | +0.77% | -0.71% | -14.07% |
2013年 | +11.36% | +2.57% | +1.43% | +14.44% | +7.46% | +1.93% | +3.77% | +0.67% | +0.51% | +3.33% | -5.39% | +3.07% | +53.66% |
2014年 | +7.64% | +0.92% | +3.59% | +3.63% | +1.89% | +5.28% | -2.17% | +2.07% | +0.65% | -0.96% | -2.24% | -1.19% | +20.28% |
2015年 | -8.54% | -0.43% | -2.08% | +7.29% | +2.80% | +1.09% | -0.93% | +1.99% | +1.27% | +2.30% | +1.75% | +1.38% | +7.35% |
2016年 | -1.64% | +1.09% | +6.91% | +0.90% | -2.41% | -3.84% | -1.45% | +1.78% | +2.17% | +1.09% | +2.05% | -0.81% | +5.55% |
2017年 | +2.16% | -1.55% | -1.69% | -0.51% | +1.93% | +1.12% | +1.37% | +0.37% | +1.42% | +1.11% | -0.04% | +0.67% | +6.45% |
2018年 | +1.78% | -2.45% | -2.57% | -3.10% | +2.95% | -2.21% | +3.47% | +3.47% | -3.97% | -0.86% | -9.20% | -2.40% | -14.76% |
2019年 | +6.79% | +0.73% | +1.53% | -0.11% | +0.78% | +3.00% | +1.94% | -1.15% | +3.10% | +1.78% | +0.76% | +2.24% | +23.35% |
2020年 | -0.09% | +0.37% | +1.24% | +4.52% | +1.05% | +3.64% | +4.74% | +1.20% | -0.26% | -1.46% | -9.00% | +3.07% | +8.58% |
エピック・パートナーズ・インベストメンツは、平均すると年間リターン10%程度とヘッジファンドの中では低い利回りですが安定した運用ができています。
投資戦略は日本株式を対象としたマーケット・ニュートラル戦略です。
ヘッジファンドの数ある投資戦略の中で最もリスクを取らない戦略と言われていますが、その分リターンも低くなります。
エピック・パートナーズ・インベストメンツではロックアップ期間を設けていて、投資後6ヶ月は解約することができません。
また、最低投資額は1,000万円と一般の個人投資家目線では少しハードルが高い設定となっていますね。
詳細はこちらの記事にまとめていますので、ご興味ありましたらご覧ください。
失敗しないヘッジファンド投資のまとめ
- ヘッジファンド投資の失敗は投資家の想定利回りを下回ること
- 「必ず儲かる」「元本保証」といった詐欺案件には注意が必要
- 失敗しないためには優秀なヘッジファンドに投資すること
失敗しないヘッジファンド投資についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ヘッジファンド投資における失敗とは投資家が想定した運用結果を下回ることでしたね。
ヘッジファンドが運用に失敗して破綻してしまうことや低リターンで思ったほど資産が増えないのはヘッジファンド投資の失敗と言えます。
何より避けるべきなのは「必ず儲かる」「元本保証」「損失補填」「現金で取引」といった詐欺案件に投資してしまうことです。
ヘッジファンドの担当者や既存投資家から情報を得て、優秀なヘッジファンドは見極めて投資しましょう!
※日本国内ヘッジファンドを選ぶ時のポイントや詳しい情報は、こちらの記事で解説していますのでご参考にしてください。