ヘッジファンドの手数料っていくらくらい?
ヘッジファンドはリターンが高いけど、手数料も高いという噂は本当?
ヘッジファンドと投資信託の手数料の違いって何?
そんな思いから、こちらの記事に辿り着いたのではないでしょうか?
ヘッジファンドとは、あらゆる投資手法を試みてどんな市場環境であっても利益を追求することを目的とした絶対収益追求型のファンドです。
優秀なヘッジファンドは市場が下落するような期間でも高リターンを出していますが、それを実現しているのは優秀なファンドマネージャーです。
そんな優秀なファンドマネージャーを繋ぎとめるために、ヘッジファンドの手数料が高く設定されているのは事実です。
本記事ではヘッジファンドの手数料の具体的な計算方法から、高い手数料設定でも世界の富豪から資金が集まる理由までしっかり解説します!
※そもそもヘッジファンドって何?という場合は、こちらの記事で簡単にヘッジファンドの概要を解説していますのでご参考にしてください。

ヘッジファンドの手数料はこの4つ!
- 成功報酬
- 管理報酬
- 購入手数料
- 解約手数料
ヘッジファンドの手数料は主にこの4つに分類されます。
それぞれ具体的な計算方法を含めて説明します。
成功報酬
ヘッジファンドの手数料で特徴的なのはこの「成功報酬」だと思います。
成功報酬は運用利益に対してかかる手数料で、運用損失が出た場合は発生しません。
手数料率はファンドによって10~50%程度ですが、一般的には運用利益の20%を成功報酬としているファンドが多いと言われています。
またほとんどのヘッジファンドは運用残高が過去最高値を超えた場合にのみ適用される「ハイウォーターマーク(HWM)方式」を採用しています。
文字だけではイメージしづらいと思いますので、100万円を運用したと仮定して上の図に沿って説明します。
※成功報酬を20%として、わかりやすいように成功報酬以外の手数料は無視しています。
まず、100万円を元本に運用を開始するのでHWMは100万円となります。
1期目は150万円に増えたので、運用利益50万円×20%=10万円の成功報酬が発生します。
投資家の運用残高は150万円-10万円=140万円となり、HWMが140万円に更新されました。
2期目は90万円に減ったので、成功報酬は発生しません。
3期目は120万円と前期比では増えているのですが、HWMの140万円を超えていないのでこの場合でも成功報酬は発生しません。
4期目は200万円でHWMの140万円よりも60万円増えたので、運用利益60万円×20%=12万円の成功報酬が発生します。
投資家の運用残高は200万円-12万円=188万円となり、HWMが188万円に更新されました。
このように水位が上がるように基準額が上がっていくため、ハイウォーターマーク方式と呼ばれているのです。
ハイウォーターマーク方式の計算方法はわかったけど、何の意味があるの?と思われるかもしれません。
もし、上の図でHWM方式を採用していなければ3期目に成功報酬が発生し、4期目の成功報酬も増えてしまいますよね?
HWM方式は仮にヘッジファンドの運用成績の変動が激しい場合でも成功報酬を払いすぎないようにという、投資家に優しい設定です。
管理報酬
管理報酬は運用残高に対してかかる手数料で、運用成績に関係なく発生します。
手数料率はファンドによって年率1~5%程度ですが、一般的には運用残高の年率2%を管理報酬としているファンドが多いと言われています。
仮に管理報酬が年率2%だとすると、以下のようになります。
投資開始から1年後に運用残高が150万円であれば、150万円×2%=3万円の管理報酬が発生します。
投資開始から2年後に運用残高が90万円であれば、90万円×2%=1.8万円の管理報酬が発生します。
投資開始から3年後に運用残高が120万円であれば、120万円×2%=2.4万円の管理報酬が発生します。
このように運用残高が増えようが減ろうが一定の割合で発生するので、ボディーブローのように効いてきます。
購入手数料
購入手数料は、投資額に対してかかる手数料ですが、投資開始時に1回のみ必要となります。
手数料率はファンドによって1~5%程度ですが、一般的には購入手数料は無しとしているファンドが多いと言われています。
仮に購入手数料が3%だとすると、以下のようになります。
投資額が100万円であれば、100万円×3%=3万円の購入手数料が発生します。
投資額が200万円であれば、200万円×3%=6万円の購入手数料が発生します。
解約手数料
解約手数料は、解約額に対してかかる手数料ですが、解約時に1回のみ必要となります。
手数料率はファンドによって1~5%程度ですが、一般的には解約手数料は無しとしているファンドが多いと言われています。
仮に解約手数料が5%だとすると、以下のようになります。
解約額が200万円であれば、200万円×5%=10万円の解約手数料が発生します。
解約額が300万円であれば、300万円×5%=15万円の解約手数料が発生します。
解約手数料を設定しているファンドでは、大抵は早期解約(1年以内など)や大量解約の場合にのみかかるという条件付きとなっています。
解約手数料は短期投資家を退けるとともに回転率を下げ、運用成績が悪い時期に解約を減らすのに役立っていると言えます。
ヘッジファンドと投資信託の手数料の違いは?
手数料発生 | ヘッジファンド | 投資信託 |
---|---|---|
利益発生時 | 成功報酬 10~50% |
無し |
決算時 | 管理報酬 1~5% |
信託報酬 0.1~2% |
購入時 | 購入手数料 1~5% |
販売手数料 0.1~3% |
解約時 | 解約手数料 1~5% |
信託財産留保額 0.1~0.3% |
ヘッジファンドと投資信託は似たようなタイミングで手数料が発生しています。
とは言っても両者ともに購入時と解約時の手数料は無しの場合が多いので、実際は成功報酬の有無と管理報酬・信託報酬の違いくらいですね。
並べてみると、投資信託に比べてヘッジファンドの手数料は非常に高いですね。
それなら投資信託の方が優れているのかというと、そういうわけではありません。
仮に年間リターン20%のヘッジファンドと年間リターン5%の投資信託の両方に100万円ずつ投資していたとします。
ヘッジファンドでは1年後、100万円+運用利益20万円-成功報酬4万円-管理報酬2.4万円=113.6万円となります。
投資信託では1年後、100万円+運用利益5万円-信託報酬数千円≒105万円となります。
投資信託の信託報酬を実質無いものと見積もっても、最終的な利益にはかなり差がありますね。
もちろんこんな単純計算の通りになるとは限りませんが、投資するのであればどちらに投資したいと思いますか?
ヘッジファンドで重要なのは手数料よりも最終的な利益!
投資信託との比較でイメージできたと思いますが、ヘッジファンドで重要なのは手数料よりも手数料を差し引いた後の最終的な利益です!
ヘッジファンドの手数料は一般的に管理報酬が2%、成功報酬が20%であることから「2:20モデル」と呼ばれています。
しかし近年は2:20モデルは崩壊しているとも言われています。
実際、ヘッジファンドの成功報酬の平均値は2002年は17%でしたが、2019年では14%に下がっています。
しかし、2019年時点でも全体の43%のファンドが成功報酬を20%以上に設定しているという状況です。
個人的な見解では、優秀なヘッジファンドとそうでもないヘッジファンドの二極化が進んでいるのではないかと考えています。
その理由は優秀なヘッジファンドは強気に手数料を引き上げているからです。
直近では、世界トップクラスのヘッジファンドである「DEショー」が管理報酬と成功報酬をそれぞれ3%と30%に引き上げました。
出典:ヘッジファンドのDEショー、昨年好成績-手数料は業界最高水準に(Bloomberg)
優秀なヘッジファンドが手数料を引き上げても資金が集まるのは、投資家にとって最終的な利益が一番重要だからに他なりません。
ヘッジファンドの手数料のまとめ
- ヘッジファンドの成功報酬はハイウォーターマーク方式
- ヘッジファンドの手数料は投資信託と比較すると高い
- 手数料の高いファンドに資金が集まるのは運用成績が良いから
ヘッジファンドの手数料には成功報酬、管理報酬、購入手数料、解約手数料があります。
一般的には管理報酬が2%、成功報酬が20%で「2:20モデル」と呼ばれていますが、近年はその常識も大きく変わっています。
資金の集まらないファンドは手数料を引き下げる一方で、優秀なヘッジファンドは手数料を引き上げています。
優秀なヘッジファンドが手数料を引き上げても資金が集まるのは、投資家にとって重要なのが手数料よりも最終的な利益だからです。
※優秀なヘッジファンドを知りたい場合は、ヘッジファンドのおすすめランキング記事をご参考にしてください。