ヘッジファンドと機関投資家って何が違うの?
そもそも機関投資家って何をしているの?
そんな思いから、こちらの記事に辿り着いたのではないでしょうか?
日々の経済・金融ニュースでヘッジファンドや機関投資家という言葉を目にすることが増えてきましたね。
ただ、ヘッジファンドや機関投資家についてなんとなくはわかっているものの、違いがイマイチわからないという相談も多いです。
本記事では機関投資家とは何かを体系的に解説することで、ヘッジファンドとの違いも説明しています。
※そもそもヘッジファンドって何?という場合は、こちらの記事で簡単にヘッジファンドの概要を解説していますのでご参考にしてください。

機関投資家とはヘッジファンドを含めた大口投資家のこと!
機関投資家とは、顧客や個人投資家など多くの人から資金を集めて、その大量の資金を株式や債券などに投資して運用する大口投資家です。
機関投資家の定義があるわけではないので、どこまでの範囲をを機関投資家とするかは議論の余地があると言えます。
一般的には、生命保険会社、損害保険会社、年金基金、大学基金、銀行、投資運用会社、ヘッジファンドなどが機関投資家と呼ばれています。
一口に機関投資家と言っても、運用目的や運用スタイルは千差万別です。
保険会社や年金基金は長期的なポジションで、投資運用会社やヘッジファンドはやや短期的なポジションで運用しています。
ヘッジファンドは短期ポジションが多いから機関投資家ではないという論調もありますが、長期ポジションを多用するファンドもあるので一概には言えません。
ヘッジファンドは個人投資家に高い収益を還元するために、必要であれば長期でも短期でも様々なポジションで運用しています。
機関投資家として共通しているのは、運用資産の規模が大きく1回当たりの売買金額も大きいので市場に与える影響が大きいということです。
ヘッジファンドだけじゃない!機関投資家の一覧はこちら!
- 保険会社
- 年金基金
- 大学基金
- 銀行
- 投資運用会社
- ヘッジファンド
ここからはヘッジファンドを含む主な機関投資家と言われている法人・団体が、どんな運用目的や運用ポジションで投資しているのかを解説します。
大口投資家という意味では巨額の資金を運用している宗教法人やマフィアなども機関投資家とされることもありますが、今回はメインプレイヤーを紹介します!
保険会社
生命保険会社や損害保険会社は顧客の払った保険料を元手に資金を運用しています。
保険会社は顧客から受け取った保険料だけでは、何かあった時に支払う保険金や会社の経費を賄えません。
そのため、保険金の支払いや経費を賄える程度の利回りを長期的に確保できるようなポジションで運用をしています。
厳密に言うと保険会社が見込む運用利回りがあって、そこから逆算して保険料をできるだけ安く設定しています。
なので、保険商品によっては想定以上の運用益が出た場合に、解約返戻金や満期保険金を上乗せするという仕組みもあります。
保険会社はそこまで高い利回りを目指しているわけではないので、債券など低利回りであるが安定的な金融商品に投資する割合が大きいです。
年金基金
年金基金は国民の払った年金保険料を元手に資金を運用しています。
日本では少子高齢化が進んでも現役世代の負担が重くなりすぎないよう、保険料の上限が固定されています。
今後一層少子高齢化が進む中でも年金制度を持続可能なものとするために、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が長期的なポジションで運用しています。
厚生労働大臣が定めた現行の中期目標において、長期的に確保するよう求められている「実質的な運用利回り」は年平均で+1.7%です。
実質的な運用利回りとは、年金保険料が賃金上昇に連動することを考慮して「実際の運用利回り-賃金上昇率」で計算されます。
直近20年間のGPIFの運用実績は、年平均で+3.78%(実際の運用利回り+3.65%-賃金上昇率-0.13%)と目標を大幅に上回っています。
大学基金
大学基金は大学の関係者(学生の親、卒業生、地域社会)からの寄付金を元手に資金を運用しています。
大学基金は原則、元本には手をつけずに運用収益のみを大学の運営や研究費に充てています。
大学自体が永続を前提としているので、大学基金の元本は「半永久的に使わない」資金として超長期的なポジションで運用されます。
超長期的なポジションを取れるためにリスク許容度が非常に高く、資産の20~30%をヘッジファンドなどのオルタナティブ投資で運用しています。
このように機関投資家がヘッジファンドに投資することも、よくあることです。
大学基金は特にアメリカでは盛んで、ハーバード大学やイェール大学などの名門大学では毎年数十億円もの寄付金を得ています。
国内では大学への寄付があまり浸透していないこともあり、東京大学や早稲田大学などの一部の大学のみが大学基金で運用しています。
銀行
銀行は顧客の預金を元手に資金を運用しています。
銀行の3大業務は「預金」「融資」「為替」であり、金融庁が定義した銀行の本業利益とはザックリいうと貸金と預金の利息の差です。
例えばですが、昔は貸金利息が5%で預金利息が1%なので4%が儲けになるといった状況でした。
現在は超低金利時代で、貸金利息が0.5%で預金利息が0.01%なので0.49%しか儲けにならないような状況です。
さらに酷い銀行では本業利益がマイナスになっていて、近年では一部の預金を運用することで利益の補填を図っています。
銀行によって運用スタンスは違いますが、過度にリスクを取らずに長期的なポジションで運用している銀行がほとんどです。
しかし、何年か前には外国債券での運用に失敗して数百億円もの売却損を出してしまう銀行もありました。
投資運用会社
投資運用会社は個人投資家の投資資金を元手に資金を運用しています。
投資運用会社とはインデックスファンドやアクティブファンドなどの投資信託の運用を行っている会社です。
インデックスファンドは「日経平均株価」「S&P500」などの指数に連動するように投資するので長期的なポジションで運用しています。
アクティブファンドは指数を上回る利回りを目指しているので、ファンドマネージャーの判断で長期や短期のポジションを使い分けています。
ファンドによって運用方針は異なりますが、投資信託は公募の金融商品なので各国の金融規制の範囲内で運用しています。
ヘッジファンド
ヘッジファンドは個人投資家や機関投資家の投資資金を元手に資金を運用しています。
ヘッジファンドとは、あらゆる投資手法を試みてどんな市場環境であっても利益を出すことを目指す運用スタイルのファンドです。
ヘッジファンドの「ヘッジ」とは直訳すると「避ける」という意味で、リスクを避けながら高リターンを目指しています。
投資対象は株式・債権・為替など多岐にわたり、先物取引や信用取引などを積極的に活用することで市場に関係なく収益を追求できます。
ヘッジファンドは私募なので規制もそれほど厳しくなく、投資信託以上に運用方針はバラバラで長期や短期のポジションを複雑に使い分けています。
ヘッジファンドと機関投資家の違いのまとめ
- 機関投資家は大量の資金を運用する大口投資家
- ヘッジファンドは機関投資家に含まれる
- 機関投資家は運用目的によって様々なポジションで運用している
機関投資家とは、顧客や個人投資家など多くの人から資金を集めて、その大量の資金を株式や債券などに投資して運用する大口投資家のことでしたね。
明確な定義があるわけではありませんが、生命保険会社などと並んでヘッジファンドも含まれています。
一口に機関投資家と言っても、運用目的や運用スタイルは千差万別で様々なポジションで運用しています。
機関投資家として共通しているのは、運用資産の規模が大きく1回当たりの売買金額も大きいので市場に与える影響が大きいということです。
※優秀なヘッジファンドを知りたい場合は、ヘッジファンドのおすすめランキング記事をご参考にしてください。