ヘッジファンドの空売りって?下落相場でも収益追求できる仕組みは!

ヘッジファンドは空売りで儲けているって聞くけど、どういう仕組みなの?

そもそも空売りって何なの?

空売りしているヘッジファンドが個人投資家に損をさせられたというニュースを見たけど、何故そんなことが起こるの?

そんな思いから、こちらの記事に辿り着いたのではないでしょうか?

ヘッジファンドとは、あらゆる投資手法を試みてどんな市場環境であっても利益を出すことを目的とした絶対収益追求型のファンドです。

ヘッジファンドが用いる投資手法の中で最もメジャーなのが空売り(ショートポジション)となります。

空売りとはどういう仕組みなのか、基本的なことからメリット・デメリットなど含めて徹底解説します!

PB池田
ゲームストップ株騒動などのヘッジファンドの空売りに纏わる大きな出来事も、記事の後半で紹介しています。

※そもそもヘッジファンドって何?という場合は、こちらの記事で簡単にヘッジファンドの概要を解説していますのでご参考にしてください。

この記事を書いた人
プライベートバンカー
PB池田
関西出身で外資系コンサル会社に勤める40代の個人投資家。前職は銀行員だったが、転職を機に本格的な資産運用を始める。証券アナリスト・プライベートバンカーの資格を有しており、現職では大手金融機関へのアドバイザリーに従事。職業病で徹底的にリサーチしないと投資できない性格で、ブログでは様々な資産運用先を紹介している。2022年現在、自身の運用資産は6,000万円を超える。

ヘッジファンドが使う空売りの仕組みとは?

空売りとは、手元に持っていない金融資産を売ることを言います。

例えばある株式を500円の時点で空売りして、その株式が100円になった時点で買い戻せば、下落した差額の400円が利益となります。

通常は株式を購入して株価が上がった時点で売却すれば利益が出ますが、空売りの場合はその逆で株価が下がった時に利益が出ます。

一方、株式を100円の時点で空売りして、その株式が500円になった時点で買い戻せば、上昇した差額の400円が損失となります。

通常の株式購入の時と比べて、利益の考え方は完全に逆ですね。

それにしても、何故持ってもいない株式を売ることができるのでしょうか?不思議ですよね。

もう少し踏み込んで、実際の空売りの仕組みを詳しく解説します!

投資家から証券会社に空売りの注文が入ると、証券会社は株式を調達して投資家に貸し出すと同時に市場に売却します。

大抵の場合、証券会社は生命保険会社・損害保険会社・信託銀行などの機関投資家から株式を借りてくることで調達しています。

証券会社から借りた株式を売却した資金は担保として証券会社に預けられるので、この時点では投資家の資金は動きません。

その後、株価が上昇した時点で買い戻せばその差額が損失、株価が下落した時点で買い戻せばその差額が利益となります。

PB池田
株式を貸してくれる機関投資家がいるので、手元に株式がない状態でも売却することができるんですね!

ヘッジファンドの空売りのメリット・デメリット!

ここまで空売りの仕組みや利益の考え方について解説してきましたが、空売りにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

空売りには大きなメリットがあると同時に、当然ながらリスクも存在します。

メリット

空売りのメリット
  • 価格が下落する資産でも利益を得られる
  • リスクヘッジとして活用できる
  • 市場を安定させる役割もある

空売りの最大のメリットは、価格が下落する資産でも利益を得ることができることです。

一般的にどんな金融商品でも価格の上昇・下落が存在します。

金融商品の下落局面において、現物取引では待つしかないタイミングを投資のチャンスに変えることができるのは空売りならではですね。

一般の投資信託の運用成績は市場の上昇・下落に連動して決まりますが、ヘッジファンドは市場が下落していても空売りで利益を得られます。

これは一般の投資信託は厳しい運用規制があるため空売りに制限がありますが、ヘッジファンドは規制に縛られない自由な運用が可能だからです。

ヘッジファンドが空売りを用いるのは、下落局面で利益を得る以外に上昇局面で資産の価格をコントロールしたい意図もあります。

例えば、現物保有したい金融商品があるが価格が高騰してしまっている場合、空売りを仕掛けることで価格を適正水準まで下げてから現物を買うこともあります。

また、価格が下落することが明白であるが手放せない現物金融商品を保有している場合、空売りすることで価格が下落した時の損失分を補填するヘッジ手段となります。

金融商品の価格が上昇してほしいと願っている投資家にとって空売りは「悪」ですが、実は空売りは市場を安定させる役割もあります。

例えばある金融商品が大幅に下落している場面で空売り残高が増えれば、利益確定のための買い戻しが発生し価格が上昇します。

つまり、空売りは市場のボラティリティを抑制することで市場を安定させている側面もあるのです。

PB池田
多くのヘッジファンドが空売りを上手く活用することで高いリターンをたたき出しています!

デメリット

空売りのデメリット
  • 価格上昇時の損失額が理論上無限大である
  • 金利が発生する
  • 返済期限までに借りた金融商品を買い戻さなければならない

空売りは下落市場でも利益を上げられる投資手法ですが、当然ながらデメリットも存在します。

利益の考え方で空売りは価格が上昇したら損失になると解説しましたが、この損失額が理論上は無限となってしまいます。

通常の現物取引では500円の金融商品を買った場合、どんなに下落しても0円までで損失の最大値は500円です。

しかし、500円で空売りした金融資産の価格が1,500円まで上昇した場合、損失は1,000円と空売りした金額を超えてしまいます。

金融商品の価格上昇余地は無限大なので、理論上は空売りによる損失は無限大にあると言えるのです。

そこまで価格が暴騰する確率はあまり高くないですが、現物取引よりもリスク管理を徹底する必要があります。

そして空売りでは売るための金融商品を借りてくるための「金利」が発生します。

銘柄にもよりますが年利1%以上となかなか高いので、長い期間借りていると大きなコストとなってしまいます。

さらにほとんどの場合、空売りした金融商品は返済期限までに買い戻さなければなりません。

現物取引であれば一時的に価格が下落しても、反転して価格が上昇するまで待つということが可能です。

空売りの場合は例え損失が出ている状況であっても、返済期限になれば買い戻して損失を確定させることになります。

PB池田
空売りには多くのデメリットがありますが、それを補って余りあるメリットがあるので多くのヘッジファンドが投資手法に取り入れています。

個人投資家でも空売りできるの?

空売りはヘッジファンドの専売特許ではないので、個人投資家でも証券口座に信用取引口座を開設すれば空売りできます。

ただし、当たり前のことですがどの金融商品がどんなタイミングで下落するかを予測するのは非常に困難です。

よほど成功している個人投資家でもない限り、ヘッジファンドや機関投資の養分になる可能性が高いでしょう。

個人的にはサラリーマン投資家が安易に手を出すものではないと思います。

世間を騒がせたヘッジファンドの空売りに纏わる出来事

空売りにはメリットもデメリットも相応にあるということはご理解いただけたと思います。

ここからはヘッジファンドが空売りで大儲けした出来事や大損した出来事を取り上げます!

ポンド危機

ポンド危機とは、1992年9月16日にイギリスの通貨であるポンドの為替レートが急落した出来事です。

イギリスは1990年に、EC(欧州共同体)内通貨間の為替レートを事実上固定するERM(欧州為替相場メカニズム)に加入しました。

ERM加入後イギリスの経済は低迷していましたが、ERMによって欧州通貨と連動したポンドは次第に過大評価されていきました。

このポンドがイギリス経済の実態とは高く離れたレートで取引されていることに目をつけたのが、ジョージ・ソロスです。

ジョージ・ソロス率いるヘッジファンドが多額のポンドを空売りしたことで、ポンドが大暴落しました。

イングランド銀行はポンド買いの市場介入などで抵抗しましたが為替レートを維持することができず、翌日にERMを脱退することになったのです。

事実上のERM脱退となった1992年9月16日は英国にとっての屈辱だと考えられてブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)と呼ばれるようになりました。

この一連の出来事で、ジョージ・ソロス率いるヘッジファンドは10億〜20億ドル程度の利益を得たと言われています。

後日談ですが、ポンドが大暴落したイギリスはポンド安による輸出産業の好調で経済が回復しました。

結果論ですがポンド高を維持するという当時の金融政策の間違いを、ジョージ・ソロスが正したとも言えますね。

PB池田
後に、多くの経済学者が1992年9月16日を白い水曜日と呼ぶことになりました。

アジア通貨危機

アジア通貨危機とは、1997年にヘッジファンドが仕掛けた空売りでアジア通貨が暴落した出来事です。

当時の新興国は自国の貨幣相場を米ドルと連動させるドルペッグ制という固定相場制を取っていました。

経済基盤の弱い途上国では自国の貨幣相場が不安定な変動となりがちであるため、基軸通貨である米ドルと連動させることで変動リスクを抑えていました。

しかし、アメリカのドル高政策に連動して新興国通貨が上昇する中、アジアの実体経済は低迷していました。

このような経済と為替レートの歪みに目をつけたヘッジファンドが、アジア通貨を大量に空売りしたのです。

大きな影響を受けた国はタイ・マレーシア・インドネシア・フィリピン・韓国で、タイでは当時の政権が失脚するほどの影響がありました。

PB池田
この出来事はヘッジファンドの空売りが経済に大きな影響を与えたとして、空売りの是非が議論されるきっかけになりました。

ゲームストップ株騒動

ゲームストップ株騒動とは、ゲームストップの株を空売りしていたヘッジファンドが個人投資家の買いによって大きな損失を被った出来事です。

これはまだ記憶に新しい出来事ですね。

ヘッジファンドの空売りに関する話はヘッジファンドが儲かった話が大半ですが、今回のようにヘッジファンドが大損する場合もあります。

今回の騒動はヘッジファンドが空売りをしている銘柄に対して、個人投資家が買いを呼びかけて大勢の個人投資家がこれに応じて買いを仕掛けたものです。

レディット(reddit)というSNSで「空売りで儲けているヘッジファンドを懲らしめる」ことを目的に呼びかけられました。

ヘッジファンドは空売りした銘柄を株の返済のために契約した期限までには買い戻さなくてはならないため、株価が上昇していれば損失を被ることになります。

ショート(空売り)のポジションを損切らせる目的のため「ショートスクイーズ」と呼ばれています。

実際に、メルビン・キャピタルという運用会社のヘッジファンドは2021年1月の運用成績が-53%と大きな損失を被りました。

「個人投資家がヘッジファンドを打ち負かした」と話題になりましたが、実はダメージを受けたのは6ファンドのみでした。

他に数十社ものヘッジファンドがゲームストップに投資していましたが買いだったので、ヘッジファンド業界としてプラスになっています。

ヘッジファンドに損をさせるための騒動でしたが、むしろ高値で掴んでしまった個人投資家は大きな含み損を抱えてしまっています。

もちろん、上手く売り抜けた個人投資家もいるでしょうが、今回の騒動で個人投資家も大きなダメージを負いました。

PB池田
最終的には個人投資家の価値とは言い切れない結果になったので、今後繰り返される可能性は低いと思います。

ヘッジファンドの空売りのまとめ

今回のまとめ
  • 空売りとは手元に持っていない金融資産を売ること
  • 空売りは価格が下落する資産でも利益が得られる
  • 空売りは時に大きな損失を被ることもある
  • ヘッジファンドは空売りを上手く活用して利益を追求している

ヘッジファンドの空売りについてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

空売りとは手元に持っていない金融資産を売ることで、ヘッジファンドの最もメジャーな投資手法です。

空売りは金融商品の価格が下落したら利益を得られるので、市場が下落相場でもヘッジファンドは利益を追求できます。

空売りにはデメリットやリスクがあるので、サラリーマン投資家が安易に手を出すのは推奨できません。

ヘッジファンドのようなプロでさえ、時には空売りで大損してしまうことがあります。

しかし、多くのヘッジファンドは空売りを上手く活用することで一般の投資信託よりも大きな利益を上げています。

PB池田
ヘッジファンドへの投資を検討している場合は、空売りを上手く活用できている優秀なヘッジファンドに投資しましょう!

※優秀なヘッジファンドを知りたい場合は、ヘッジファンドのおすすめランキング記事をご参考にしてください。

管理人へのお問い合わせ

管理人ポリシー

当ブログでは様々な資産運用先を紹介していますが、担当者の方に実際に伺った内容を掲載しています。

具体的な投資方法や利回りなどを公開できないところもありますので、気になる記事がありましたらお気軽にお問い合わせください。

こちらからLINEを友だち追加いただくか、以下のメールフォームからご連絡ください。

    お名前 必須

    メールアドレス 必須

    題名 必須

    メッセージ本文 必須

    関連記事 RELATED POSTS