ヘッジファンドの主要な投資戦略を解説!謎に包まれたその手法とは?

ヘッジファンドってどんな手法で運用しているの?

ヘッジファンドの投資戦略を詳しく知りたい!

ヘッジファンドの投資戦略が違うとパフォーマンスも変わってくるの?

そんな思いから、こちらの記事に辿り着いたのではないでしょうか?

ヘッジファンドとは、あらゆる投資手法を試みてどんな市場環境であっても利益を出すことを目的とした絶対収益追求型のファンドです。

ヘッジファンドが具体的にどんな投資戦略や運用手法で利益を出しているのか気になりますよね。

多くのヘッジファンドは具体的な取引の内容を公開していませんが、投資戦略をいくつかの代表的なパターンに分類することはできます。

本記事では、謎に包まれたヘッジファンドの代表的な5つの投資戦略とその手法を徹底解説します!

PB池田
今回は投資戦略の解説と専門的な内容になりますので、多少難しい言い回しになっている個所もございますがご了承ください。

※そもそもヘッジファンドって何?という場合は、こちらの記事で簡単にヘッジファンドの概要を解説していますのでご参考にしてください。

この記事を書いた人
プライベートバンカー
PB池田
関西出身で外資系コンサル会社に勤める40代の個人投資家。前職は銀行員だったが、転職を機に本格的な資産運用を始める。証券アナリスト・プライベートバンカーの資格を有しており、現職では大手金融機関へのアドバイザリーに従事。職業病で徹底的にリサーチしないと投資できない性格で、ブログでは様々な資産運用先を紹介している。2022年現在、自身の運用資産は6,000万円を超える。

ヘッジファンドの5つの代表的な投資戦略とその手法!

ヘッジファンドには数多くの投資戦略や運用手法があり、実際に各ファンドはあらゆる手段を用いて利益を追求しています。

そのため、突き詰めればヘッジファンドの投資戦略はファンドごとに全て違うといっても過言ではありません。

ヘッジファンドの調査会社によって分類も様々ですが、ここではヘッジファンド・リサーチ社(HFR社)の基準を紹介します。

※HFR社は米国最大手のヘッジファンド調査会社で、同社が提供するデータやサービスは世界の機関投資家などの間で幅広く使用されており、実質的な業界標準となっています。

代表的な投資戦略
  1. 株式ヘッジ
  2. イベントドリブン
  3. マクロ
  4. レラティブバリュー
  5. マルチストラテジー

この5つに分類できない独自のテーマで運用しているヘッジファンドも多数存在しますが、大きな分類としては上記の戦略となります。

株式ヘッジ

株式ヘッジは、その名のとおり株式市場に焦点を当てた戦略運用資産額は約1兆ドルです。

株式ヘッジに分類される戦略は「株式ロングショート戦略」や「株式マーケットニュートラル戦略」などが挙げられます。

株式ロングショート戦略

株式ロングショート戦略は、伝統的なヘッジファンドの戦略です。

相対的に割安な個別株式を買い(ロングポジション)、相対的に割高な個別株式を空売り(ショートポジション)します。

そうすることで市場上昇時でも市場下落時でも収益獲得を狙い、市場リスクを抑えた運用が可能となります。

ロングとショートのバランスはファンドによって異なりますが、多くのファンドはロングに寄ったポートフォリオです。

PB池田
米国市場は長期的には右肩上がりなので、ロング多めの方が収益を上げやすいのでしょう。

株式マーケットニュートラル戦略

株式マーケットニュートラル戦略は、市場要因を完全に相殺することを目的に計算しながら運用しています。

ロングとショートを組み合わせる点では株式ロングショート戦略と似ていますが、こちらはロングとショートをほぼ同量保有するポートフォリオを組みます。

ファンドによっては業種やサイズについてもロングとショートで同様のポジションを取り、細かいレベルでリスクヘッジします。

市場変動リスクを限りなくゼロに押さえている代わりに、株式ロングショート戦略と比較してリターンも小さくなります。

ちなみに機関投資家がヘッジファンドへの投資を強めたきっかけは、株式マーケットニュートラル戦略の流行にあると言われています。

2000年以降の株式市場低迷や低金利下に伴う運用難の時期に、市場に影響されず収益を獲得できるこの戦略に資金が集まるようになりました。

PB池田
時代によって流行り廃りがありますが、この戦略はリターンが低くなりがちなので好景気時は不人気となります。

イベントドリブン

イベントドリブンは、企業の連結、買収、資本再編、倒産、清算など会社再編に関連するイベントに焦点を当てる戦略です。

投資対象はその企業が発行する株式、債券やそれに関連するデリバティブで運用資産額は約1兆ドルです。

イベントドリブン戦略は利幅が大きくなりますが、収益が突発的なイベントに起因することが多いため、収益予測はつきにくくなってしまいます。

イベントドリブンに分類される戦略は「マージャーアービトラージ戦略」「ディストレスト戦略」「アクティビスト戦略」などが挙げられます。

マージャーアービトラージ戦略

マージャーアービトラージ戦略は、企業の買収や合併を見込んで関連する企業の株式を用いた裁定取引を行います。

裁定取引とは同一の性格を持つ2つの商品の間で、割安な方を買って割高な方を売ることです。

マージャーアービトラージ戦略においては「買収企業と被買収企業」や「合併する各企業」の株式が同一の性格を持つ2つの商品となります。

買収を例にすると、買収が現金で行われる場合は被買収企業株式の市場価格<買収価格であれば、被買収企業株式をロングします。

買収が株式交換で行われる場合は交換比率と両社株式の市場価格の比率に着目して、その乖離に応じたポジションを取ります。

どちらのパターンも買収成立によって、市場価格との差を収益として獲得することができます。

PB池田
ただし、見込んでいた買収が不成立となると損失を被るリスクがあります。

ディストレスト戦略

ディストレスト戦略は、経営破綻した企業や破綻懸念のある企業の株式や債券などに投資します。

投資対象の企業は、極端に悲観的な評価をされて本来的な価値に対して著しく安い価格で売買されているような企業です。

経営再建による価格回復や残余財産価値などを計算して、売買価格との価格ギャップから収益獲得を狙います。

このタイプのヘッジファンドは投資した企業に投資家としてアドバイスするだけでなく、実際に経営に参画することで企業再建を促進するケースもあります。

PB池田
投資先を見極めるだけでなく、経営に参画できるような人材がファンドに必要となります。

アクティビスト戦略

アクティビスト戦略は、株価が割安な上場企業に投資し、事業提案を行うなどして株主価値を高めて投資リターン獲得を目指す戦略です。

簡単に言うと、投資している企業に口出しして利益を上げさせる戦略です。

あくまで株式投資による収益を追求するので、ディストレスト戦略のように投資先の経営に参画することはありません。

具体的には、投資家として投資先の企業に資産や子会社の売却、 配当や自社株買い、経営者の変更などを求めて株主提案を行います。

アクティビスト戦略は過去には一方的な株主提案や敵対的買収によって、短期的な利益の獲得を目指すファンドが多く問題視されていました。

近年では、投資先企業の中長期的な企業価値の向上を投資目的とする、友好的なアクティビストファンドへの注目が集まっています。

PB池田
アクティビスト戦略は「物言う株主」で話題になった村上ファンドが有名なので、聞いたことはあるかもしれませんね。

マクロ

マクロは、幅広い資産を対象にトップダウン型のアプローチから収益を狙う戦略運用資産額は約5,000億ドルです。

個別銘柄の割高・割安を重視する株式ヘッジ戦略とは異なって、市場そのものの方向性に賭けたポジションをとるのが特徴です。

そのため、穏やかな市場ではリターンが伸び悩みますが、市場のトレンドが大きく出る局面ではハイパフォーマンスとなります。

マクロに分類される戦略は「グローバルマクロ戦略」「マネージドフューチャーズ戦略」などが挙げられます。

グローバルマクロ戦略

グローバルマクロ戦略は、マクロ経済の予測に基づいて、世界各国の通貨・株式・債券等のあらゆる市場の方向性に投資をします。

マクロ見通しを重視して市場そのものの方向性に賭けたポジションをとるのが特徴であることから、市場のトレンドが大きく出る局面を得意とします。

英国ポンドを売り崩して英国の中央銀行であるイングランド銀行に勝った男と言われた「ジョージ・ソロス」の運用手法として知られています。

世界中のあらゆる資産を分析するための多くの人員が必要なので、新興ヘッジファンドの参入は難しく大手のみに許された戦略とも言われます。

PB池田
かつてはヘッジファンドの花形戦略でしたが、近年は成績が低迷し若干下火になりつつある運用手法です。

マネージドフューチャーズ戦略

マネージドフューチャーズ戦略は、株式・債券・金利・通貨に加えて、エネルギー・貴金属・農産物といった商品先物・オプションに投資します。

テクニカル指標や定量分析を駆使して、主には「アルゴリズム」と呼ばれるコンピュータによるシステム売買を行っています。

システム売買のため24時間365日トレードや超高速売買も可能で、わずかな値動きを収益に変えることもできます。

CTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザーズ)とも呼ばれています。

PB池田
良くも悪くも人による感情が完全に排除されたトレードが可能です。

レラティブバリュー

レラティブバリューは、2つ以上の市場・証券間における価格の歪みに焦点を当てる戦略運用資産額は約1兆ドルです。

この戦略は債券の小さな歪みから収益を得ようとするため、レバレッジ比率を相応に高めているケースがあるので注意が必要です。

平常時は安定的な収益が期待できる一方で、ボラティリティの急上昇などリスクが顕在化する場面においては損失が拡大する可能性があります。

レラティブバリューに分類される戦略は「債券アービトラージ戦略」「転換社債アービトラージ戦略」などが挙げられます。

債券アービトラージ戦略

債券アービトラージ戦略は、国債・社債やモーゲージ担保証券などの様々な債券における価格の歪みを利用します。

相対的に割安な債券を買い(ロングポジション)、相対的に割高な債券を空売り(ショートポジション)します。

株式マーケットニュートラル戦略の債券版で、ロングとショートをほぼ同量保有するポートフォリオを組みます。

転換社債アービトラージ戦略

転換社債アービトラージ戦略は、割安な転換社債を買って同一発行体の株式を空売りする戦略です。

転換社債とは、事前に決められた条件でいつでも株式に転換できる権利の付いた社債のことです。

株価上昇時は、転換社債を株式に転換して売却すれば値上がり益が得られます。

株価下落時は、空売りで利益を得られるうえに転換社債は満期まで待てば額面で償還されるので損失はありません。

これによって株価が上昇しても下落しても収益を出せるのです。

ただし、株価のボラティリティが低下すると「転換社債が転換できないうえに株の空売りからも利益が出ない」という状況になり戦略の優位性は失われます。

PB池田
銘柄を上手く選定できればほぼ確実に利益が出ますが、成熟した金融マーケットではなかなかめぼしい銘柄は見つけられません。

マルチストラテジー

マルチストラテジーは、複数のヘッジファンド戦略を一つのファンドの下で組み合わせた戦略です。

異なる戦略の運用を専門とするマネージャーがチームを組み、同じファンドの中で運用・リスク管理体制を共有します。

複数の戦略に投資を行うことから、分散によるリスク低減を図りつつ、局面に応じて戦略配分を迅速かつ効率的に変更することが可能となります。

複数のヘッジファンドに投資するファンド・オブ・ファンズの投資信託と戦略の分散という意味では同じです。

ただし、ファンド・オブ・ファンズのように二重報酬が発生することはないので、相対的なコストメリットが高いです。

PB池田
戦略の多様化を通じて安定したリスク・リターン特性を提供する傾向にあることから、年金基金にも広く選好される戦略の一つです。

ヘッジファンドの投資戦略(手法)別のパフォーマンス

株式ヘッジ イベントドリブン マクロ レラティブバリュー マルチ
2008年 -22.19% -18.79% -0.10% -12.14% -13.79%
2009年 +28.35% +30.49% +4.97% +25.99% +26.28%
2010年 +9.87% +10.63% +7.73% +9.94% +9.22%
2011年 -4.21% -1.97% -2.92% +1.89% -0.68%
2012年 +5.44% +7.68% +0.46% +9.47% +7.93%
2013年 +10.12% +10.65% -2.00% +6.30% +5.96%
2014年 +2.67% +0.91% +9.41% +3.48% +4.02%
2015年 -4.60% -5.94% -2.91% -2.41% -1.08%
2016年 +11.52% +14.07% -0.60% +10.41% +8.05%
2017年 +9.40% +5.14% +0.67% +3.27% +2.69%
2018年 -0.41% +1.82% -0.31% +2.96% +2.10%
2019年 -9.59% -12.24% +2.64% -6.39% -3.80%

上記の表はヘッジファンドの投資戦略別のパフォーマンスの推移です。

この表を見ていただければ、投資戦略ごとにどういったタイミングでパフォーマンスするのか違いが見えてきます。

株式ヘッジとイベントドリブンはロングが多い戦略なので、リーマンショックの2008年やコロナショックの2019年はマイナスが大きいです。

逆に2009年や2016年の株式市場が好調な局面ではプラスが大きくなっていますね。

マクロは市場下落時に収益獲得するのが得意なので、他の戦略が苦戦した2008年や2019年でも堅調なパフォーマンスです。

しかし、市場のトレンドが大きく出にくい局面ではパフォーマンスは伸び悩んでしまっています。

レラティブバリューは平常時は市場に関係なく安定したパフォーマンスですが、2008年や2019年のような不安定な局面では相応のマイナスとなっています。

マルチストラテジーは市場下落局面でも相対的にマイナスを抑えられており、総じて安定的なパフォーマンスですね。

PB池田
長期的に見れば、各投資戦略で得意不得意があるのがわかります。

ヘッジファンドの投資戦略ごとの特徴はあくまでも目安

ここまでヘッジファンドの各投資戦略の特徴やパフォーマンスを解説してきましたが、これらはあくまでも目安だということを理解しておきましょう!

確かにヘッジファンドは投資戦略によって得意とする局面が異なるので、パフォーマンスにも差異が出ます。

ただし、市場が上昇しそうであれば株式ヘッジ、市場が下落しそうであればマクロといったように状況に応じてファンドを選ぶのは個人投資家にはお勧めできません。

それは「市場を読むことがそもそも困難」ということと、投資戦略ごとの特徴はあくまでも傾向であり「ファンドによる差が大きい」からです。

まず、市場を読むことがそもそも困難なことはご理解いただけると思います(簡単であればヘッジファンドに投資せずとも資産を増やせますよね)。

そして、ヘッジファンドは投資戦略が同じでもファンドによって想定するリスクリターンが大きく違うのです。

実際のパフォーマンスはファンドマネージャーの実力によるところも非常に大きく、戦略ごとの特徴はあくまで目安にすぎません。

私が知っているヘッジファンドで、株式ヘッジ戦略を取りながら市場好調時にマイナスを出したファンドがあります。

逆にマクロ戦略を取りながら市場下落時だけでなく平常時も大きくプラスを出しているファンドもあります。

もしもヘッジファンドへの投資を検討しているのであれば、検討しているヘッジファンドの戦略と運用実績をしっかりと確認しましょう。

PB池田
私がヘッジファンドへの投資を検討した時は、実際に多数のファンドと面談を行い情報を集めました。

ヘッジファンドの投資戦略と手法のまとめ

今回のまとめ
  • ヘッジファンドには5つの代表的な投資戦略がある
  • 投資戦略によってパフォーマンス優劣が異なる
  • 突き詰めればヘッジファンドの投資戦略はファンドごとに全て違う
  • ヘッジファンド投資検討の際は個別ファンドの運用実績を確認する

ヘッジファンドの投資戦略とその手法についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

多くのヘッジファンドは具体的な取引の内容を公開していないので、彼らの投資戦略は謎に包まれています。

便宜的には、ヘッジファンド・リサーチ社によって5つの代表的な投資戦略に分類されているのでその基準を紹介しました。

投資戦略によってパフォーマンスに優劣がある傾向はありますが、その特徴はあくまでも目安にすぎません。

突き詰めればヘッジファンドの投資戦略はファンドごとに全て違い、パフォーマンスの差も大きいです。

ヘッジファンド投資検討の際は、投資戦略に加えてファンドの運用実績を必ず確認しましょう。

PB池田
実際に優秀なヘッジファンドは投資戦略に関係なく好調な成績を維持しています。

※優秀なヘッジファンドを知りたい場合は、ヘッジファンドのおすすめランキング記事をご参考にしてください。

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